読書録『ライオンのおやつ』小川糸著

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本の詳細

  • 『ライオンのおやつ』小川糸
  • 株式会社ポプラ社(2022)、文学小説
  • 文庫本279ページ
  • 2020年本屋大賞第2位

どんな本?

”人生の最後に食べたいおやつは何ですか?”
若くして余命を告げられた主人公の雫(33歳)は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか本当にしたかったことを考えます。
ホスピスでは毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」、それは雫の生と死について向き合う大切な時間になります。
すべての人にいつか訪れることがあたたかく描かれており、自分や周りの人、そして今を見つめ直すきっかけになる一冊です。

なぜこの本を選んだか?

本屋大賞作品第2位となっており、以前から読んでみたいと思いながら、やっと手に取った一冊です。なかなか隙間時間に長編小説を読むのは感情移入が難しいため、読みたくても後回しにしていましたが、最近少し時間に余裕ができたためこの本を選びました。

心に響いたところは?(一部本の内容が含まれます。)

  • おやつに対する考え方がとても温かいところ。
    ”おやつは、体には必要のないものかもしれませんが、おやつがあることで、人生が豊かになるのは事実です。おやつは、心の栄養、人生へのご褒美だと思っています。”
  • ライオンの家、名前の由来。
    ライオンは百獣の王、敵に襲われる心配はなく、安心して、たべたり、寝たりすればいい。”ここにいるゲストたちは、私を含め、みんながライオン、百獣の王なのだ。”
  • 食べ物が本当に美味しそうに描かれているところ。特に私はお粥が無性に食べたくなりました。
    ”食べれば食べるほど、お腹の底がぬくぬくして、乾いた大地に水が染み込む。お粥の滋養が、体の津々浦々へと行き渡っていく。””「粥有十利(しゅうゆうじり)といって、お粥には十のいいことがあると言われています」”

この本を読んで感じたこと


余命を宣告されて、残りの人生をどう過ごすか考え行動に移した主人公と、周りで支える人々の心温まる物語は、私に対してとても身近な内容で、感情移入しやすくたくさん涙しました。
人生において大切なことは、”自分の体で感じること。目で見て感動したり、触ったり、匂いを感じたり、舌で味わったり。”と描かれており、今を生きるということなんだと改めて感じました。
作品の中で出てくる景色や食べ物の表現がとても美しく、心にスッと入ってくるのと、主人公の心情が丁寧に描かれていて、「私だったら最後のおやつは何を食べたいか」、「子どもの頃の記憶や両親との思い出は何か」、「余命宣告されたらどうなるだろうか」、「最後に会いたい人や見たい景色は何か」など、いろいろ考えさせてくれる本でした。
もう一度読み直したら、また違った感情や考えが出てくるだろうなと思います。再読候補の一冊になりました。

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